ゆうゆう90号

2014年8月14日発行









日ごろな一枚




昭和8年の三陸大津波で打ち上げられた巨大な石。



地中に埋まっていたはずが、東日本大震災の津波で再び姿を現したそうです。



石の表面には「津波記念石」と刻まれています。



(高さ3メートル、高さ2メートル、重さ30トン)







「津波記念石 前方約二百米突(メートル)吉浜川河口ニアリタル石ナルガ



昭和八年三月三日ノ津波ニ際シ打上ゲラレタルモノナリ 重量八千貫」







1.『新江ノ島水族館』へ行ってきました!







 「えのすい」の愛称で親しまれている『新江ノ島水族館』。湘南の海沿いにあり江ノ島の姿が



間近に見えるという、絶好のロケーションにあります。取材した日は快晴、海はキラキラ輝いて



いて、サーフィンをする人や砂浜で遊ぶ子供の姿が見えました。まぶしさに目を細めつつ海を



眺めたら、チケットを買って早速入場です!



                   



★「相模湾大水槽」にマイワシの大群

 初めに目を引いたのは、巨大な水槽内で泳ぎ回るマイワシの大群です。なんと約8000匹もいるそうで、群れになっ
て動くと迫力があります。絵本『スイミー』で、小魚たちが集まって大きな魚のふりをして泳ぐという有名なシーンがありま
すが、まさにそれを実際に見ているかのようでした。これは相模湾に面した水族館ならではの展示で、国内でも有数の
イワシの漁場である相模湾の海中を大水槽で再現したことにより、普段は目にすることのできない群れの生態を見るこ
とができます。

 マイワシの他にも様々な魚が泳いでいて、大水槽に沿ってつくられたスロープを下っていくことで、いろいろな高さや角
度から全体を鑑賞できます。ショーパフォーマンスでは、ダイバーが水中カメラを手に大水槽へ潜り、魚たちの姿を間
近で映し出していました。「人間と同じように、魚たちもみんな違う顔をしている」とのことで、画面に映る魚の顔をじっと
見つめてみるのですが、なかなか違いがわからず苦戦しました…。



    





★幻想的な「クラゲファンタジーホール」

 クラゲ好きにはたまらない、クラゲのみが展示されている空間です。ドーム型のホールで、壁をぐるりと囲むようにいく
つもの水槽があり、ホールの真ん中には「クラゲプラネット」と名付けられた球型の水槽があります。その中で約一四種
ものクラゲがふわふわ漂う様子は、青い照明の効果もあって何とも妖艶です。



                      



 カラフルなゴムまりのようにプカプカと浮かぶクラゲもいれば、あまりにも透き通っていて溶けてしまいそうなクラゲもい
て、多様さに驚かされます。一時間毎に行われるクラゲショーでは、浮遊するクラゲたちに光と音の演出が加わって幻
想的な空間が繰り広げられました。



★海をバックにアシカ・イルカショー

 湘南の海を背景にアシカやイルカのパフォーマンスを見ることのできる、「イルカショースタジアム」。海も見えるしショ
ーも見えるしと、良いことずくめです。半屋外なので、かすかに潮の香りや波の音がします。スタジアムの最上段はフラ
ットなつくりのため車いすで鑑賞でき、中央には横幅3メートルの車いす専用観客スペースが二カ所あります。



     



 まず登場したのはアシカです。トレーナーのお兄さんが蹴ったボールを、鼻先にちょこんとのっけて投げ返す姿が可
愛らしい。そしてお兄さん、ボールを蹴るのが上手い…!と感嘆しました。

 次はイルカです。大きなイルカたちが、なんと五匹も現れました。回る回る、ダイナミックな宙返りをするイルカもいれ
ば、フィギュアスケートの浅田真央ちゃん顔負けのスピンジャンプを炸裂するイルカもいます。水しぶきをあげて躍動す
るイルカたちに思わず「おー!」と声を出しながら、視線の先には湘南の海が広がっていることを快く感じ、大満足のシ
ョーでした。



★「オーシャンデッキ」でひと休み

 ちょっと一息つきたいなと思ったら、「オーシャンデッキ」へ。七二メートルにも及ぶ長いオープンデッキで、目の前に広
がる海や江ノ島を眺めながらのんびりすることができます。飲食物の持込みも可能なので、お茶でもすすりながら沈み
ゆく夕日を見つめる…なんていいかもしれません。



    





☆☆車いすで来館するには☆☆

 取材中に、車いすを使用している方を数人お見かけしました。入口をはじめ、館内は段差のないフラットなつくりにな
っており、エレベーターやスロープで移動できます。しかし通路については、館内は狭い所があったりカーペットが敷い
てあったりと、車いすでは動きづらい点も見られました。イルカショースタジアムやオーシャンデッキのある半屋外の通
路は幅が広く、車いすでの移動がしやすくなっています。

 今年四月にオープンしたばかりの新コーナー「ウミガメの浜辺」では、屋外のプールにいるウミガメを見るために木製
のスロープを下れるようになっており、階段とスロープの両方が設置されています。

 取材日には園児たちの団体がたくさん見学に来ていました。遠足や校外学習などでの来場があるようで、小さくても
見やすいように水槽の位置が低くなっているなどの工夫が見られます。

 多目的トイレはすべてのトイレに併設されており、入口や出口付近、イルカショースタジアムなど、計五カ所にありま
す。入口と出口付近の多目的トイレには、ユニバーサルシートが備えられています。オストメイト対応トイレはありませ
ん。



〜取材を終えて〜

 幾度となく江ノ島を訪れ、自称江ノ島LOVERの筆者ですが、今回の取材で初めて『新江ノ島水族館』の存在を知りま
した。なぜ知らなかったのかというと、江ノ島を見るたびに興奮のあまり島へ猪突猛進してしまうからのようです。皆さ
ん、江ノ島へ続く橋を渡る前に、ぜひ『新江ノ島水族館』へ行ってみてください。今回ご紹介したのはほんの一部で、カ
ニやサメやペンギンなど、まだまだたくさんの生き物たちと出会うことができます。海の潮風を感じ、海に生きる数々の
生命を目にする。そんな体験を、『新江ノ島水族館』で!



               



  



<入場料>

 大 人 2,100円/中学生・小学生 1,000円/高校生 1,500円/幼児(3歳以上)  600円



 ※障害者手帳の提示で、本人と同伴者1名まで半額。



<アクセス>

○電車の場合

 ・小田急江ノ島線「片瀬江ノ島駅」より徒歩3分

 ・江ノ島電鉄「江ノ島駅」より徒歩10分

 ・湘南モノレール「湘南江の島駅」より徒歩10分

○車の場合

 専用の駐車場はないため、近隣の有料駐車場を利用。

 ・県立湘南海岸公園中部駐車場(車いす用駐車スペースあり)

 ・片瀬海岸地下駐車場(車いす用駐車スペースあり)

 ・江ノ電駐車センター(車いす用駐車スペースあり)






2.東京〜宮城〜岩手 No.2 





 東日本大震災によって被災した三陸海岸を2年ぶりに訪れました。今回も、まず始めに



向かったのは南三陸町。車窓から見える景色は2年前とさほど変わっておらず、「復興」と



いう言葉とはほど遠い印象を受けざるを得ませんでした。



 その後は、この春復旧した三陸鉄道に乗車し、最後は松島へ向かうという道のり。三陸



の今を見つめながら、そこで亡くなった多くの人々に思いを馳せ、供養をしてきました。





防災対策庁舎の現在

始まりは、南三陸町です。

防災対策庁舎の赤い骨組みを前に、3年前の震災を改めて思い起こします。まわりには建物がなく、庁舎のみが静か
に立っており、あの日のまま時間が止まっているかのように見えます。今も庁舎の前には千羽鶴やお花が供えられ、朝
早くにもかかわらず、一人自転車で訪れる人や団体バスで立ち寄る人々の姿がありました。取材班一同もお花を供
え、亡くなった方々の冥福をお祈りしました。



  





三陸鉄道南リアス線に乗る



     



 続いて、三陸鉄道南リアス線に乗ります。今回は、車いすで行けるよう階段のない駅を選びました。

 今年4月に全線の運行が再開された三陸鉄道。「盛駅」で待っていると、一車両のみの小さな姿でゴトゴトとホームに
やって来ました。愛らしさに、思わずカメラを向けます。乗降口はホームよりも高い位置にあるため、駅員の方がスロー
プを出してくれました。乗車した新車両はレトロ調で落ち着いた雰囲気があり、大きめの車窓からゆったりと景色を眺
めることができます。車内のトイレは車いす対応でした(注)。

 「恋し浜駅」で長く停車するため、ホームに降りてみました。駅は高台にあり、美しい海の遠景が見下ろせます。恋愛
のパワースポットとして注目されているそうで、駅舎には中を埋め尽くすほど多くのホタテの絵馬が吊されていました。



                 



         



         



              



 その後も乗車を続け、「吉浜駅」で下車。海辺にあるという津波記念石を見に行きます。

 これは、昭和8年の大津波で打ち上げられた巨大な石です。埋め立てられていたにもかかわらず、東日本大震災の
津波により道路が洗い流され、再び姿を現したそうです。

 石は海辺の土に食い込むようなかたちで巨大な体をあらわにしていました。更地となってしまった海辺は今も工事真
っ只中であり、津波の威力がどれほどのものであったかが感じられました。



                 



松島〜遊覧船〜

 次に向かったのは松島です。この道中で思いがけない事態が起こりました。

 レンタカーのナビどおりに進んでいくと、車はだんだん人気のない山道へ。道が狭く曲がりくねっているうえ、さらには
途中からジャリ道になり、ガタガタ揺れます。なかなか終わりの見えない山道に不安を抱いていると、なんと目の前に突
如、シカが現れました。「えっ??」と皆一瞬静まり返り、驚く車内。シカは凜と立ち、こちらを見据えています。「カメラカ
メラ!」まさかの出逢いに、慌ててシャッターを切ろうとしたまさにその瞬間、シカはくるりと向きを変え、走り去ってしま
いました…。

 なんとか無事に山道を切り抜けた一同は、松島に到着。

 さっそく遊覧船に乗り込み、松島湾の島々を眺めます。松島で震災による被害が比較的少なかったのは、この島々
が緩衝材となり津波の威力を弱めたからだそうです。今は穏やかに見える海ですが、津波により削られた島もあり、震
災の爪痕が残されていました。デッキで潮風を浴びながら景色を楽しんでいると、約五〇分の船旅はあっという間に終
わってしまいました。

 船を降り、待合室へ。震災当時の写真が展示されている他、津波到達地点の表示が、人の背丈をはるかに超える高
さにありました。被害を受けた待合室は、今では綺麗に改装されています。



〜取材を終えて〜

 震災前から「乗りたい!」と思い続けていた三陸鉄道に、念願叶って乗ることができました。小さな車両に揺られなが
ら美しい山や海の景色を眺めていると、「この鉄道が再開してくれて本当によかった」と嬉しくなりました。

 東北の復興を祈って、また何度でも訪れたいと思います!



(注)…車いす対応のトイレは引き戸で多少広めにつくられていますが、利用できる方は限られるかもしれません。



      



                  






3.ケアスタッフチーム便り 〜新しいビラができました〜



 皆さん、こんにちは。今回は、早稲田大学構内に掲示するケアスタッフ募集のための新しいビラを作成したことについ
て、ご報告させていただきます。スタッフ募集のビラは、より多くの学生にケアスタッフチームを知ってもらい、新たにメ
ンバーに加わってもらうことを目的として、主に早稲田大学各キャンパスの掲示板に月に一度のペースで貼っているも
のです。 

 これまで中心的に活動されてきた先輩方が順番に卒業していく一方、現役の学生はなかなか増えず、ケアスタッフは
不足しているという現状があり、ケアセンターの利用者の方のニーズに応えていける体制を維持するためには、広報活
動にさらに力を入れていく必要があると感じていました。その一環として、2008年にケアスタッフチームが結成されて
以来使ってきたビラを、この機会に見直してみようということになりました。

 新しいビラを作るにあたり、ケアスタッフの活動が一方的に「やってあげる」という行為のものではなく、利用者の方と
の交流を通して私たちケアスタッフも楽しんだり、成長したりできるものだということを伝えたいという思いが強くありまし
た。また、「親しみやすく、活動に興味を持ってもらいやすいようなビラに」ということも意識して、アイディアを出し合いな
がら話し合いを進めていきました。

 今までのビラはケアのことが前面に出ており、利用者の方と皆で一緒に楽しむ運動会や必要に応じて開くケアスタッ
フチームのミーティングといったイベントは小さく記載されるにとどまっていました。そこで、活動の内容を「日常のサポ
ート」という普段のケアと「イベント」に分けることで、様々な活動を行っていることをわかりやすく示しました。また、今ま
では文字での説明が中心でしたが、手書きのイラストを取り入れ、目につきやすく、見やすいものを目指しました。その
他にも、地図に早稲田大学の位置やケアセンター事務所までの目印を書き加えるなど、いくつかの改善をしました。

 新しいビラは先日無事に完成し、早速大学のキャンパス内の掲示板に貼ることができました。色々な場所に貼ってあ
りますので、校内を通られる方はぜひ見てみてください。まだ貼ったばかりですが、一人でも多くの学生がこの新しいビ
ラを見て興味を持ち、連絡をくれると嬉しいです。                          ケアスタッフ 安田歩







4.編集後記

東日本大震災から既に丸3年が経ちました。けれども、現地に行ってみると、復興にはまだまだ遠い道のりだと感じま
す。もちろんあちらこちらに復興の兆しはみられますが、この地域に暮らす人々のことを慮ると胸が痛くなります。

微力ではありますが、これからも震災を忘れず応援していきたいと思います。



             残暑お見舞い申し上げます。   事務局一同




                       




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