ゆうゆう84号

2013年 8月 5日発行









日ごろな一枚

       



実家で飼っているメダカです。これは白メダカで、割と人気の種類だとか。ちょうど繁殖シーズンなので、



帰る度にメダカたちが増えています。もう何匹いるのか分かりません。



飼ってみたい方は事務所までご連絡を! 差し上げます。



緋メダカ(オレンジ)・白メダカ・黒メダカ、揃ってますよ! (職員Aより)





1.人と人とをつなぐ オリヒメ



                  



 去る6月某日、新宿ライフケアセンター事務所に、株式会社オリィ研究所所長の吉藤健太朗さんと、吉藤さんの開発
する遠隔コミュニケーションロボット「オリヒメ」にお越しいただきました。吉藤さんは早稲田大学の学生でありながら、
「ロボット技術で福祉を豊かにする」というコンセプトのもと起業されました。

 吉藤さんは子供の頃から体が弱く、気軽に出かけることができなかった経験があります。また、そのために学校も休
みがちになり、不登校になったこともあったそうです。

 ある時、吉藤さんが病院で療養中に友達が花火大会に出かけるということがありました。友達の声を聞き、花火の打
ち上がる音を聞けば、きっと自分も花火大会に行っているような気持ちになれると思い、花火大会に行っている友達に
電話をかけたそうです。しかし電話がつながり花火の音も後ろに聞こえた直後、友達から「ごめん、今花火見に来てる
から切るね」と言われ電話を切られてしまったとのこと。その際に「電話」という道具は、声でコミュニケーションはできて
も「離れた友達と一緒に何かを楽しむもの」ではないと気づいたと言います。

 これらの経験を生かし、開発されたのが「オリヒメ」です。吉藤さんは小さい頃から折り紙が大好きで、出身地奈良県
では奈良文化折紙会の会長も努められているほど。ロボットはその折り紙にちなんで「オリヒメ」と名付けられました。

 さて、「オリヒメ」は様々な理由で外出が困難な人が行きたいところに行ったり、会いたい人に会ったりすることを支援
してくれるロボットです。歩行支援機のような大きなロボットを連想されるかも知れませんが、「オリヒメ」は写真のよう
に、手のひらにも乗せることができるほどの小さなロボットです。

 例えば、自分が病院にいるためお花見に行けない状況にあったとします。でも、自分の友達はお花見に行っている。
そのときもし「オリヒメ」があれば、「オリヒメ」を通じて自分も友達と一緒にお花見に行くことができます。

 自分が病院に居ながらにして、どうやって一緒に友達とお花見に行くのか?



                      



 まず、友達と一緒に「オリヒメ」をお花見に連れていってもらいます。「オリヒメ」にはカメラ、マイク、インターネットが搭
載されているので、「オリヒメ」が見たものは病室のパソコンに映しだされ、「オリヒメ」が聞いた音は病室のパソコンから
聞こえてくることになります。さらに、「オリヒメ」にはスピーカーが搭載されているので、病室からパソコンに映しだされて
いる友達に向かって話しかければ、友達と一緒にいる「オリヒメ」から自分の声が聞こえ、花見をしている友達と話すこ
ともできます。また、「オリヒメ」は首を動かすことができるので、病室のパソコンを操作すれば見たい方向を見たり、向
きたい人の方に向いたりすることができます。テレビ電話とは違い、実際にロボットが自分の代わりにその場にいるの
で、存在感があることが大きな魅力です。このように「オリヒメ」の体を借りることで、世界中どこでも出かけることができ
ます。

 実際これまでに、入院している母親が「オリヒメ」を操作して家族みんなでお花見に行く、一人病院の無菌室で暮らす
子供が「オリヒメ」の体を借りて病院の大部屋にいる友達のところに遊びに行く、といった活用がされています。また現
在、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の方にも「オリヒメ」を使っていただきながら、吉藤さんと共に開発にご協力いただくプ
ロジェクトが進行中です(筆者も開発に参加)。体は動かなくとも声は出なくとも、「オリヒメ」を通じてALS患者の支援活
動や「オリヒメ」の広報活動を行うことができ、積極的に社会に関われるようになることを目指しています。



 日常生活においてケアやサポートを必要とする人々には様々なニーズがあります。しかし、その一つ一つに細やかに
対応していくことは大企業では困難です。オリィ研究所では、そのような大企業にはできない個別対応をしていき、利用
者との距離の近い会社を目指していきたいと語っていました。

 「オリヒメ」は現在開発中ですが、前記のページから利用申し込みをすることもできるようになっています。自宅にイン
ターネット回線があり、興味のある方や気軽に出かけてみたい方は、申し込んでみてはいかがでしょうか。



 余談ですが、最近テレビ取材などで多忙な日々を送っている吉藤さんですが、放映の際、健太「郎」と漢字を間違えら
れることが非常に多いとのこと。みなさんはぜひお間違えのなきよう。

                                                              粕谷 昌宏





参加者感想・・・菅野 栞



「自己紹介を」

 ご本人曰く「黒い白衣」(注1)に身を包んだ“オリィさん”こと吉藤健太朗さんは、そう言うとおもむろに折り紙を取り出し
ました。そして話をしながら手元を見ることなく、超高速スピードで綺麗なバラを折りあげられたのです。早くも感嘆する
私でしたが、その後もオリィさんはユーモアたっぷりに講演してくださり、とても楽しませていただきました。

 後半には、もう一人のゲストである「オリヒメ」も登場。大学の授業ですでに「オリヒメ」の存在を知っていた私は、本物
を見て大興奮です。「オリヒメ」が見ている風景を別の場所でiPadを通して見ていると、自分がもう一人違う場所に存在
しているような感覚になりました。また、丸っこい頭がヒュンヒュンと上下左右に動く様子が可愛らしく、いつの間にか愛
着がわいていました。

 「オリヒメ」は小さくて軽いので、外出の際にも気軽に連れて行くことができます。肩にちょこんと乗せて歩いたら「なん
だあれは?」と注目されそうです。「オリヒメ」は、機能だけでなく見た目の愛らしさにも魅力があるのです。

 と、なんだかビジュアル重視の感想になっていますが、オリィさんも「愛着のわく見た目」を考えたうえで、色や形、表
情などを作っていらっしゃるそうです。「オリヒメ」は自分にとって大切な人の分身なのだから、愛情をもって接することが
できるようすみずみまで考慮されているのだなと思いました。

 オリィさんは今後も「オリヒメ」の改良を続けていくそうですが、またぜひ進化した「オリヒメ」と会えたら嬉しいです。

 まだ行ったことのないスカイツリーに一緒に行ってみたい!

(注1)オリィさんは、自らデザインした真っ黒な白衣をトレードマークとしていつも身につけていらっしゃいます。






2.工房製作物紹介



車いす側パイプの高さ調整

 車いす利用者であるAさんから、「プッシュアップの際に手を置く位置(車いすの側パイプ)を高くしたい」という製作依
頼が寄せられた。

 Aさんは移乗する際、側パイプに手を置いてプッシュアップしている。しかし、身体機能の低下に伴い、今まで無理なく
できていた移乗がしづらくなってきたとのこと。そこで、手を置く位置を本人の希望する高さにするため、側パイプを加
工することになった。



                    



 まずは、材料に何を用いるかについて検討。これまでの製作活動の経験から、自由な形に成形でき、且つプラスティ
ックと同じ強度になる「自由樹脂」を使って製作していくことになった。ところが、自由樹脂が製造中止となり手に入らな
いことが判明。再度検討を重ね、代替品としてたどり着いたのがプラスティック粘土「おゆまる」(以下、「おゆまる」)で
ある。

 製作は、側パイプの上から「おゆまる」を重ね、形を整えながら進めていった。

 製作当初、側パイプと「おゆまる」との固定にはビニールテープを用いた。しかし、プッシュアップの際にかかる負荷は
思いのほか強く、しばらく使用していくうち、おゆまる

が側パイプに沿って傾いていく問題が発生。改善策を検討しながら試行錯誤を繰り返した結果、前後のパイプを巻き
込むようにおゆまるを成形し、できる限り傾きを押さえることにした。(図参照)

 Aさんは製作前、側パイプにスポンジカバーを付けていた。今回の製作により高さが増し、スポンジカバーは必要がな
くなったというAさん本人の判断から、一旦は取り外した。しかしいざ使用してみると、「おゆまる」とビニールテープだけ
では太さや感触に違和感を感じるとのこと。長年の生活の中で、スポンジカバーを付けたパイプに慣れていたからのよ
うだ。

 以前のスポンジグリップは、「おゆまる」の導入によってパイプの高さが変わり、取り付けることはできない。そこで、製
作前と同じ太さや感触に戻すため、新たにラケット用グリップテープを巻きつけることとなった。



         



 材料に用いた「おゆまる」は、ある程度の熱によって簡単にやわらかくなる。そのため夏場の炎天下などでは、プッシ
ュアップ時の負荷などによって変形してしまうことも考えられる。また、側パイプとの固定については、今回「おゆまる」
の成形を工夫することで改善を図ったが、傾きが完全に押さえられているわけではなく、課題は残されている。初めて
使用した材料であるため、使い続ける中で新たな問題点やさらなる要望が出てくる可能性もあるだろう。今後の様子を
丁寧に見ていき、さらにどんな修正や工夫が考えられるかを検討しながら活動を続けていきたいと思う。







いたずら工房ピノキオでは、「こんな用具があったら助かるのに」「ここを直したら、



もっと使いやすいものになるのに」と、障害者・高齢者が思い描くものをかたちにし



ていくための活動を行っています。当事者自身が製作の中心となりながら、自分に



合ったものをつくりだす。、ものづくりの楽しさや喜び、障害について考えていく機会



をケアスタッフとともに共有し、互いの理解を深めていく場になればと考えています。




3.ケアセンターあれこれ



4月

・運動会練習会2回



・平成24年度新宿区障害者福祉活動事業助成金実績報告書提出(機関紙)



・平成24年度地域福祉振興事業助成金報告書提出(工房)



・日本財団福祉車両助成事業完了報告書提出





 この度、公益財団法人日本財団による福祉車両助成金の交付を受け、車いす対応車(軽自動車)の



整備を行わせていただきました。新しい車両はこれまでよりも定員が増え、車いす利用者を含め4名の



乗車が可能となりました。深く感謝申し上げます。



 なお、これまで使用していた車両は、日本財団が実施する「中古福祉車両海外寄贈プロジェクト」に



より、ミャンマーへ輸出されました。







車種: スズキ エブリイ

           



・平成25年度新宿区障害者福祉活動事業助成金申請書提出(機関紙)



・平成25年度新宿区障害者団体懇談会出席





5月

・運動会練習会三回



・新宿区社会福祉協議会 平成25年度地域ささえあい活動助成金申請書提出(運動会)





6月

・運動会練習会2回



・ケアスタッフ勉強会「車いす介助」「排泄介助」開催



・2013年度通常総会開催



・工房研修会「コミュニケーションロボットオリヒメと吉藤さんを迎えて」開催



・東京都 平成24年度事業報告書提出





7月

・運動会練習会3回



・ケアスタッフ勉強会「入浴介助」開催



・新宿区介護保険訪問介護事業所集団指導出席



・平成24年度福祉・介護職員処遇改善実績報告書提出(障害)



・平成24年度介護職員処遇改善実績報告書提出(介護保険)



・ケアスタッフチームミーティング開催




4.工房材料材質紹介コーナー





 いたずら工房ピノキオでは、日々、様々なものづくりを行っています。



 製作活動に用いる材料・材質は、何気ないものから「これは便利!」



「これは楽しい!」といったものまで、本当にいろいろ。ひょっとしたら、



みなさんの生活の中の思わぬ場面で、活躍してくれるものもあるかもし



れません。



 そこで! 今号から、いろいろな材料・材質を紹介していきます。気に



なるものがあれば、ぜひ試してみてくださいね。みなさんからのオススメ



もあれば、ぜひご提案を!



お湯で好きな形ができる!!  『おゆまる』



           

 80℃以上のお湯に入れると柔らかくなり、好きな形が作れるプラスティック粘土。一度固まっても、またお湯に入れれ
ば何度でも柔らかくなるので、やり直しができるという優れものです。

 メーカーによれば、「よく弾むスーパーボール、スイーツデコの素材として、型取り用として、ルアーとして、様々なシー
ンで活躍できるプラスチックねんど」とのこと。使い方はイラストの通り、いたってシンプルです。色の種類も豊富なの
で、好みの色を選ぶことができます。「スプーンや歯ブラシの柄を握りやすくするために太くしたい!」なんてことも簡単
にできますよ。



メーカー:ヒノデワシ株式会社

取扱店:ホームセンター・100円ショップ・文具店など





使い方

@熱いお湯(80℃以上)を入れます。電気鍋などを使用して、お湯の温度が下がらないようにすると便利です。

  



A3分くらいで柔らかくなります。割り箸などで取り出し、乾いたタオルで水分を拭き取ります。

  



B柔らかいうちに好きな形をつくります。途中で固くなった場合、お湯に戻せば何度でも柔らかくなります。

  



C好きな形にできあがったら、水に入れるなどして冷やし、できあがり!

  






5.夏休みのお知らせ



   ケア依頼の受付は、下記の期間お休みします。

    8月10日(土)〜18日(日)まで

             NPO法人新宿ライフケア・センター







6.編集後記



残暑お見舞い申し上げます。

この夏の猛暑も、まだまだ続きそうです。

どうぞご自愛ください。       事務局一同







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