ゆうゆう101号

2017年 2月17日発行





      〜子ども用車いす&助っ人大募集!!〜



 日ごろな一枚

                                       



事務所近くの西早稲田駅となりにできた真新しいビル。



何のお店が入るんだろうと思っていたら・・・。



んっ???



思わず二度見、いや三度見してしまった「医療機関募集中!」。





1.東京染めものがたり博物館(富田染工芸)

 2017年も早々ながら、目を離せない話題と言えば、なんと言っても2020年の東京オリンピック・パラリンピックでし
ょう。まだまだ先のつもりでも、行政・民間を問わず着々と準備は進められています。新宿は西早稲田にある富田染工
芸もその一つで、ここでは公式グッズの風呂敷クロスを製作しています。

 皆さまは東京オリンピック・パラリンピックの公式エンブレムを覚えていますでしょうか? あの散々もめたTの字の方
でなく、藍の市松模様で組まれた丸と牛の角みたいなのの方です。同じく組市松の風呂敷クロスは、やはりエンブレム
作者である野老朝雄氏のデザインによるもので、富田染工芸がその染めを担当しました。実はここ、去る2010年の
『ゆうゆう』69号でも「東京染めものがたり博物館」として紹介しています。伝統を広く伝えるために、こちらでは染色作
業の見学や体験もできますが、もちろん本業は染工房。明治初めの浅草の馬道に創業し、大正3年に早稲田にやって
きた老舗です。染色にとって水は重要でして、明治の近代化以降水が汚れてしまったため、時の染色業者たちは神田
川の清流を求めて早稲田の街に集まったそうです。近時ではその業者たちも随分減ってしまいましたが、富田染工芸
は伝統的な技術を墨守し、モダンな着物を作り続けています。

 そうして連綿と継承されてきた「東京染小紋」の技法が、風呂敷クロスに用いられています。小紋とは名の通り全体に
小さな模様が細かく入っている着物で、かつては「江戸小紋」と呼ばれたその着物の特徴は、型紙で染めることです。
美しく繊細なパターンが抜かれた型紙を絹の生地の上に当て、染料を入れた色糊を掛けて乾かし、また地色用の色糊
で染めます。それから蒸して染料を定着させ、すると型のところは地色に染まらず、模様の形を残すことができるという
わけです。

 特に藍の発色に苦心したという風呂敷クロスは、夏空にうろこ雲を並べたような鮮烈さで、3年後のオリンピックの空
を目に浮かばせる出来栄えです。それだけにお値段は1万円を超える高級品ですが、これがあの小池都知事もスカー
フに愛用していて大人気。今は売り切れで数か月先まで買えません。気の早い話ではありますが、冬の一日にオリンピ
ックにふと思いを馳せるのは、ちょっと楽しそうでいいかもしれませんね。                  (今井徹)







東京染めものがたり博物館(富田染工芸)の紹介







最寄り駅



都電荒川線「面影橋」駅(徒歩2分)



JR山手線・東京メトロ東西線「高田馬場」駅(徒歩15分)



東西線「早稲田」駅(徒歩15分)







営業時間



10:00〜12:00/13:00〜16:00



(月〜金・臨時休館あり)



見   学…常時可で料金無料、解説なし



染色の体験…要申込みで有料(2000円)、講義と解説付き







WEBに詳細あり






2.映画『この世界の片隅に』レビュー



 昨年のアニメ映画『君の名は』が大ヒットでしたが、年末に公開された『この世界の片隅に』が、静かに人気を集めて
います。これは漫画が原作で、戦時中の広島県呉市で暮らす、一人の女性とその家族を描いたアニメです。

 主人公のすずさんは、絵を描くのが好きなのほほんとした人で、1944年頃に海軍で書記官を務める北條周作と祝
言を挙げます。生まれ育った広島市の江波から、都会な呉での生活や、新しい家族との関係に戸惑い悩みながらも、
だけど徐々に打ち解け、北条家の一員となっていきます。すずさんはほんとうに穏やかでのんびりしていて、有り体に
言ってどん臭く、義姉にいびられたりもするのですが、それでもとても懸命で結局は周りの人に愛される柔らかい明るさ
があります。それは彼女だけでなく、この映画に出てくる人たちみんなが兼ね備えていて、厳しくなっていく日常の中でも
朗らかさを忘れず、思わず吹き出すようなシーンが多いのもこの映画の魅力です。戦中の生活の細やかで生き生きと
した描写がこの映画の大半であり肝でした。配給が減ったら野草を摘んで足しにする、近所でスケッチしていたら憲兵
にしこたま怒られて後でみんなで大笑い、兵隊になった男前の幼馴染みがやってきて昔の未練にどぎまぎする……、
映画は瑞々しい喜怒哀楽のある人間たちが生きていた呉市を描きます。徹底した考証で再現された街並みは海軍の
お膝元という物々しさでありながら、モダンで親しみを感じずにはいられません。しかしその街並みは空襲で壊れます。

 そして映画を見ていた私は、この時代のこの国が負ける戦争をしていたことを思い出すのです。爆撃機の排気音、対
空砲の砲弾の破片が外れて屋根瓦を貫く音の恐ろしさはとても言葉にできません。戦況は悪化していたのです。画面
から笑顔が無くなることが怖く、悲しくて仕方なくなります。突然の訃報・連日の空襲警報・横切る機銃・焼夷弾の鬼火・
八月六日・玉音放送。昔読んだ『はだしのゲン』で、戦争に負けた時泣き出した大人たちの悔しさや悲しみを私は共感
できず、よく理解できなかったのですが、その断絶を埋めることができるのがこの映画です。リアリティと心情描写の二
つから、苦しい日々を我慢することで戦争に参加していた人々が、どうやって終戦を受け止めたのかの一つの答えを
知ることができました。そういうわけで、「耐えがたきを耐え」を聞き終えてからの一連のシーンは、まさに圧巻の一言で
す。

 色々なものを失い、深く傷ついたすずさんと北条家の人々は、それでも戦争を生き延びます。いつしかまた抜けるよう
な笑顔を見せてくれるようになり、最後は人心地ついた気分で映画を観終わることができました。笑ったり泣いたりの、
本当に良い映画でした。                                        (今井徹)






3.「第10回 車いすをつかってあそぼう」開催のお知らせ

         〜子ども用車いす&助っ人大募集!!〜



 地域の子どもたちと一緒に障害のある人もない人も様々な立場の人が一緒になって、車いすに乗って走り、競い合
い、思いっきり遊ぼうというこのイベントは、今年で10回目を迎えます。新宿ライフケアセンターとしても、2020年東京
オリンピック・パラリンピックの開催を前に、互いに協力し合いながら一緒に楽しむ体験ができる機会としてますます力
の入る活動の一つです。

 そしてこのイベントの縁の下の力持ちは、なんと言っても子ども用車いす!

 参加する子どもたちが一人でも多く体の大きさに合った車いすに乗り、体育館を縦横無尽に走り回れるよう、毎年ア
ビリティーズ・ケアネット株式会社や新宿区社会福祉協議会に貸出のご協力をお願いしています。でも、残念ながら
年々子ども用車いすの確保が困難となり、現在各方面に貸出のご相談をしているところです。「使ってもいいよ」という
子ども用車いすがどこかにありましたら、ぜひ当センター事務所までご連絡くださいますようお願いいたします。





『この世界の片隅に』 上映時間:128分



配  給:東京テアトル



公  開:2016年11月28日



映画館情報:新宿テアトル(車いす席は要連絡) ・ 新宿ピカデリー(車いす席あり)他








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