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 ゆうゆう109号

2018年 7月28日発行

1.浮世絵で見るこの町のすがた

              〜新宿歴史博物館『幻想の新宿』展〜
2.ケアセンターあれこれ

3.編集後記


 日ごろな一枚

              

これは秩父で食べた一杯!

皆さんはもう食べましたか? 今年はどのお店も売れてるでしょうねぇ。

早稲田界隈で、美味いかき氷の店はないかなぁ?




1.浮世絵で見るこの町のすがた

        〜新宿歴史博物館『幻想の新宿』展〜


 今年は地獄の炎が漏れ出したかのような猛暑ですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。こちらはクーラーの無い部屋に住んでいて、もう脳が茹だるようで何か悪い夢や幻でも見そうな勢いです。幻と言えば、最近新宿歴史博物館で『幻想の新宿』という企画展をやっていると聞きました。なんでも幽霊や妖怪の企画展だというので、どうせ暑さにうなされて見るよりはと、ふらっと足を運んでみました。

             

 新宿歴史博物館は新宿三栄町、四谷怪談で有名な於岩稲荷は歩いて10分ほどの距離です。『幻想の新宿』展には副題が『月岡芳年 錦絵で読み解く 四谷怪談』とついて、四谷怪談はテーマの一つになっています。入り口からエレベーターを下り、地下1階へ。企画展示室は入り口から河童やナマズ男なんかのパネルが立っていて楽しそうな気配がします。中に入ると通路は広く、段差もありません。そして、待っているのは膨大な浮世絵です。この企画のメインで、90点ほどもあります。

 順路に従って見ていくと、最初に待っているのは新宿にまつわるものです。多色刷りも色鮮やかに描かれているのは新宿2丁目の太宗寺の閻魔様(ゆうゆう69号でご紹介しました)や正受院の奪衣婆様。どちらも当時の事件や世相を反映していて、閻魔様は自分の目玉をくりぬいた盗人を片目だけで睨みつけていたり、奪衣婆は急に庶民の信仰を集めるようになってうんざりしていたり、同じく流行りの日本橋の翁稲荷と首引き勝負…などなど、おどろおどろしい顔色でユーモラスな姿を見せてくれます。めいめいの絵に付された詞書も書写してあるので、陽気で軽妙な当時の雰囲気を味わえます。それから大きく新宿の地図が張り出され、各地に伝わる不思議な伝承や伝説が紹介してありました。ケアセンターの事務所の近くを見ると、かつて穴八幡宮には青白く光る松が生えていたことや、戸山ハイツの辺りには幽霊が掘った泉があったことがわかります。今となっては確かめようもありませんが、コンクリートでガチガチになった新宿にも昔はお化けや神様が大手を振って歩いていたのかと思うと、どこか和むような気分になりました。

   

 お次は四谷怪談のコーナーです。亭主の伊右衛門に疎んじられ、毒を盛られ死に至らしめられたお岩さんが呪いのパワーで復讐を果たすというこの物語は、ご存知のとおり鶴屋南北による歌舞伎『東海道四谷怪談』で一躍有名になりました。ちなみに歌舞伎の舞台は雑司ヶ谷四谷町(現豊島区雑司ヶ谷)ですが、お岩さんの実家のモデルとなった田宮家の屋敷があったのは、新宿の四谷です。これはつまり現実の事件に配慮して舞台を同じ名前の違う場所に変えたということで、それで於岩稲荷も新宿の方にあるわけですね。四谷怪談の浮世絵はなにしろ歌舞伎の演目として名高いので、これがまた公演のたびに刷られるからたくさんあって、役者も画家も違うからバラエティー豊か。そんな作品群の解説パネルは丁寧で、四谷怪談のあらすじや役柄のみならず、浮世絵に描かれた役者まで紹介してくれます。市川團十郎、尾上菊五郎、どれもキリリとしたいい顔です。そうそう、四谷怪談で顔と言えばやっぱりお岩さんの顔でしょう。毒薬によって目がつぶれ髪は抜け、おぞましく不気味な青白い色に染まり……。今回集められたお岩さんたちは大したものです。あらん限りに身をよじり、顔面のパーツがぐちゃぐちゃに掻きまわされた表情は、ピカソのキュビズムめいた表現力を彷彿とさせます。それから一風変わったものには仕掛け絵本のような工夫が仕込まれているものもありました。例えば、伊右衛門が睨む生っ白い提灯をペラリとめくると、パンチの効いたお岩さんが現れるという、芝居での見せ場「提灯抜け」を再現したもの。残念ながら展示ではお岩さんを隠す提灯は残っていませんが再現品が用意されていて、実際にめくってみることができます。こういう遊び心に触れることで、四谷怪談のもつ恐さとは裏腹なエンターテイメントとしての側面を知ることができました。

        

 さて、副題にある通り『幻想の新宿』展にはもう一つ目玉があって、それは月岡芳年の『新形三十六怪撰(しんけいさんじゅうろっかいせん)』です。彼は幕末から明治の前半ごろにかけて活躍した浮世絵師で、お墓は新宿にあります。血みどろ芳年とも呼ばれ、残虐でグロテスクな作品で有名ですが武者絵や美人画、そして幽霊妖怪の絵など幅広い分野にも傑作があります。『新形三十六怪撰』は怪異画の連作で、読んで字のごとく全36点、「新形」は「神経」とかかっていて、当時流行った「お化けを見るのは神経の病のせい」という風聞を前提にしているそうです。芳年がこの作品群を描いたのは最晩年、まさに神経の病に苦しみ逝去する最中のこと。だからといって精彩を欠いたわけではなく、むしろ鬼才の最高の技術が発揮された名作揃い。面白いのは妖怪や幽霊だけじゃなく、それに反応する人々にも力点が置かれているところです。メインは人間で亡霊の姿がぱっと見わからないよう隠されている絵や、中にはお化けは画面から排されて登場しないものまで。怪異は神経の病が見せる幻という説を思い浮かべれば、人々の強張った顔の言いしれようのない切実さにおののかされます。お越しの際は是非じっくりと矯めつ眇めつして世界観を楽しんでください。

 この他にも見所はまだまだあります。古びた道具が変化する付喪神の紹介コーナーでは、壁に貼られた付喪神のパネルに対応して骨董品の蛇の目傘や琴が用意されたり、新宿ゆかりの文豪が書いた怪談の先を予想するクイズコーナーがあったりと趣向が凝らしてあります。展示は8月26日まで。無料ながらも見所はたっぷりなので、ちょっとした暑気払いにでもいかがでしょうか。(今井 徹)



新宿歴史博物館


所蔵資料展 「幻想の新宿 〜月岡芳年 錦絵で読み解く 四谷怪談〜」


会     期 :平成30年6月30日(土)〜8月26日(日)

会     場 :新宿歴史博物館 地下1階企画展示室

観 覧 料 :無料(但し、常設展示は一般300円、小・中学生100円)

        (障害者手帳提示の場合は本人と介助者一名無料)

住     所 :東京都新宿区三栄町22番地

電話番号:03−3359−2131

最寄り駅:東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目駅」出口4より徒歩8分

             都営地下鉄新宿線「曙橋駅」A−4出口より徒歩8分

開館時間:9:30〜17:30(入館は17:00まで)

休 館 日 :第2・4月曜日(祝日の場合は翌日)

       全館燻蒸作業日(12月)と年末年始(12/29〜1/3)

設     備 :車いす対応トイレ(1,2階)、エレベーター有り

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2.ケアセンターあれこれ


4月


・運動会練習会2回

・新歓ビラ配り

・平成29年度新宿区障害者福祉活動事業助成金報告書提出(機関紙)

・平成29年度地域福祉振興事業助成金実績報告書提出(工房)

・新宿区社会福祉協議会地域ささえあい活動助成金交付事業実績報告書提出(運動会)

・平成30年度新宿区障害者福祉活動事業助成金申請書提出(機関紙)

・新宿区障害者団体定期懇談会出席


5月


・運動会練習会2回

・新宿区社会福祉協議会地域ささえあい活動助成金交付事業申請書書提出(運動会)


6月


・運動会練習会2回

・新宿区社会福祉協議会備品整備施設整備(株)日本信託助成金事業説明会出席

・工房研修会「利用者の自宅を訪問しよう〜自宅内での多様な工夫〜」

・2018年度通常総会開催

・新人スタッフ歓迎会開催

・平成30年度指定居宅サービス事業者等運営状況等確認検査説明会出席



2017年度事業報告


 ケア事業部門については、利用者のニーズや生活状況に応じて、介護保険法による訪問介護、訪問介護相当サービス、総合支援法による障害福祉サービス、制度外の介助サービスを行っています。年齢や生活状況の変化により利用できる制度が変わっても、切れ目のない支援体制を取れるよう取り組んでいます。一方、安定したケアの提供・質の向上を目指し、職員及びケアスタッフの確保ならびに育成に向けて努力していますが、人員不足の問題は一層大きく深刻な状態となっています。財政的基盤が脆弱な中、利用者の要望に十分応えられない状況は一段と厳しさを増し、年度末には居宅介護支援事業の廃止と事業内容の見直しを図りました。とりわけ福祉業界に人員不足が生じている現在、効果的で即効性のある対策はないものの、当センターならではの魅力を発信しようと広報の在り方に工夫を重ねています。

 工房部門については、ケア事業部門や企画運営事業部門との連携を通じてニーズが掘り起こされ、一人一人に合わせた丁寧なものづくりに取り組みました。3Dプリンタを活用したものづくりも定着し、活動に広がりがもたらされています。さらに、工房での製作物等の成果は冊子やホームページ等を通じて情報発信され、広く地域に還元できるようにしています。


 2017年度は、当センター存続の危機感のもと、フェイスブックの開設や新たなスタッフ募集のチラシ作成などに取り組んできました。利用者の加齢に伴う障害の重度化、利用者家族の高齢化等により、求められるケアの在り方は多様化しています。当センターの役割や理念を再確認しつつ、当事者団体であることやきめ細やかな柔軟な対応ができるという当センターの特性や強みを活かし活動を展開していきたいと考えています。


【事業内容について】


●介護保険事業(居宅介護支援/訪問介護/訪問介護相当サービス/生活援助サービス)

●障害福祉サービス事業(重度訪問介護/居宅介護/移動支援)

●介助サービス提供事業(自費)

●障害者・高齢者の生活環境整備を行う工房

 (いたずら工房ピノキオ)

  ・製作活動(2017年度活動報告冊子参照)

  ・3Dプリンタの活用

●その他イベントや研修会の開催(企画運営事業)

  ・障害者と地域の人々がともに参加する運動会及びその準備会の実施2017年7月〜11月

  ・地域スポーツ・文化事業「車いすをつかってあそぼう!」の実施

   2018年2月

  ・介助技術講習会等の実施

   2017年6〜8月

  ・ジャパンDIYホームセンターショウの見学 2017年8月

  ・国際福祉機器展の見学

   2017年10月

  ・障害者虐待防止研修会の開催

   2018年2月

  ・ケアスタッフチームミーティングの開催

●機関紙発行等の広報事業

  ・機関紙「生活交差点ゆうゆう」年5回発行

  ・メールマガジン隔週月曜日発行→ケアスタッフチームが担当

  ・ホームページ、フェイスブックの更新管理

  ・NPO、ボランティアサイトへの登録


2018年度事業計画


 ケア事業部門では、制度内・制度外のサービスを問わず安定したケアの提供と質の向上が図れるよう努めていきたいと考えています。障害福祉サービスから介護保険制度利用へ移行する利用者、介護予防・日常生活支援総合事業の利用者、施設入所後に制度外のケアを必要とする利用者など、各自様々なニーズがあり、これらに柔軟に対応していけるよう体制づくりを進めていきます。また、ケアスタッフ不足が深刻化していることを踏まえ、今年度からは居宅介護支援事業を廃止し、ケアの提供に力点を置いていくこととしました。居宅介護支援事業を廃止したことにより立場は変わりますが、これまでと同様、利用者の方々が抱える課題や心配事に寄り添い、工房事業等との連携を図りながら必要な情報提供等、生活の支援を行っていきたいと考えています。さらには地域の各関係機関とのネットワークづくりに向けて取り組み、その成果を活動に反映させていきます。

 職員及びケアスタッフの安定した労働環境を整備していくため、介護報酬の加算申請等をはじめ事業収入の確保、各助成金の申請や寄付金の要請等を行っていきます。ケアスタッフ不足はますます顕著となっており、人の確保は重要かつ緊急の課題となっています。信頼の得られる組織であることを目指し、昨年度から始めたフェイスブック等インターネットの有効な活用についての検討を行いながら、広く当センターの活動成果を情報発信していく必要があると考えています。多様な人々が集い交わる場所であり続けることを目指し、企画運営事業の内容や情報発信、広報活動の在り方等、更なる検討を重ねていきます。

 2018年度は、当センター発足より30年目となります。これまで蓄積してきた人と人とのつながりや創意工夫を力に厳しい現状に取り組み、新宿という地域に根ざした活動を展開していきたいと考えています。


【事業内容について】


●介護保険事業

  ・訪問介護/訪問介護相当サービス/生活援助サービス

●障害福祉サービス事業

  ・重度訪問介護/居宅介護/移動支援

●介助サービス提供事業(自費)

●障害者、高齢者の生活環境整備を行う工房 (いたずら工房ピノキオ)

  ・3Dプリンタを活用したものづくりへの取り組み

●その他イベントや研修会の開催(企画運営事業)

 2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されることから、当センターが過去13年の運動会開催を通じて培ってきた創意工夫を更に生かした活動に取り組んでいくことを目指します。小学生を対象にした事業についても、子ども用車いすの確保に取り組み内容の充実化を図っていきます。

  ・ともに参加する運動会及びその準備会の開催  2018年7月〜11月

   ・地域スポーツ・文化事業「車いすをつかってあそぼう!」の実施

  ・ケアスタッフ研修合宿

  ・施設見学や講演会等の研修会の開催

  ・その他イベントの開催

  ・ケアスタッフチームミーティングの開催

●機関紙発行等の広報事業

 当センターの各事業で得られた活動成果を情報発信し、ネットワーク作りを推進していくツールとして活用していきます。

  ・機関紙「生活交差点ゆうゆう」年4回程度発行

  ・メールマガジンの発行隔週一回程度→ケアスタッフチームが担当

  ・ホームページ、フェイスブックの更新、管理

  ・NPO、ボランティアサイトへの登録


2018年度役員体制

 理事長   畑山 正子

 副理事長  阿部 浩

 理事    刈谷 裕/草野 雅史

 監事    杉森 知子



7月


・運動会練習会2回

・新宿区社会福祉協議会備品整備施設整備助成金交付事業申請書提出

・平成29年度福祉介護職員処遇改善実績報告書提出(障害)

・平成29年度介護職員処遇改善実績報告書提出(訪問介護/総合事業)

・平成30年度指定居宅サービス事業者等運営状況等確認検査<書面検査>提出

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新宿ライフケアセンター運動会

 11がつ25にち(日) 13:30〜17:30

 戸山サンライズ体育館


夏休みのお知らせ

   ケア依頼の受付は、下記の期間お休みします。8月13日(月)〜17日(金)まで




3.編集後記

何も言うことはありません(笑)。とにかく暑い暑〜い夏です。皆様ご自愛ください。

残暑お見舞い申し上げます  事務局一同


                          

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